「カンボジアに総合病院をつくる。それをひとつのモデルケースとして、ゆくゆくは日本の医療を輸出産業に育てたいと思っている」。
はじめて北原理事長と出会ったときのこと、いまも鮮明に覚えています。60歳近い大人が壮大な夢を語る事に衝撃を受け、「この夢に乗ってみたい。こんな人と仕事したらきっと楽しいだろうな」という気持ちで、2010年の1月、北原への入職を決意しました。
このカンボジアプロジェクトは、経済産業省と日本の医療機器メーカー、商社など様々な企業が参加する国家レベルの大事業。日本が誇る医療技術を海外に輸出することで、輸出先のカンボジアの医療の質の向上と日本の医療マーケットの拡大などにつなげるというものです。
カンボジアプロジェクト初期の頃に入職した私は、すぐにカンボジアに旅立ちました。まだ、カンボジアでの事業性や病院の必要性を調査している時期でしたので、今まで行ってきた看護業務からはかけ離れた業務が多く、戸惑いの連続だったのを覚えています。
カンボジアの医療事情や疾患調査だけでなく、現場に入らなければ分からない「生の現状」を知るために現地医療機関で医療活動をしたり、クリニックの立ち上げなども行いました。日本で働いていた頃、物や薬、そして信頼のおける医療者が周りにいる事は当たり前で「それがなかったら…」と考えるような危機感を持った事がありませんでしたが、カンボジアでは薬一つ使用するにも疑ってかからなくてはなりません。患者さんが急変しても、医師が適切な判断が出来ない事が多く、「日本から来た看護師」という患者や家族、現地医療者からの期待感と、「自分が今どうにかしないと患者さんが死んでしまう」という状況に、毎日が緊張の連続でした。
カンボジアでの4年間、現在の日本の医療システムが先人達の努力によって作り上げられたものなのだという事を身をもって知る事ができました。そして、周りの状況に甘え学ぶ機会を逃していた自分自身を振り返るきっかけにもなりました。「医療」を病院という建物から解放したもっと広い目線で見る事が出来るようになったのも、カンボジアでの経験があったからこそだと感じています。
2016年夏、遂にカンボジアで病院が開院となります。
病院オープンという新しいフェーズに移行するため、私のカンボジアでの任期は終了となりました。現在は日本に帰国し、現地活動中に感じた「もっと看護師として成長したい!」という思いを実現させるため、大学院に通いながら北原国際病院で看護師として働いています。カンボジアに行く前とは違った視点・意識を持ちながら、学び、働く事ができるようになったと感じています。今後もカンボジアで広がった看護師としての枠を、日本でもっと広げられるよう研鑽していきたいと思っています。
KNIでは初めての経験をたくさんする事になると思います。それは日本にいても海外にいても同じです。初めての事は、時には体力的にも精神的にも大変な事はありますが、自分の可能性を広げる事が出来るチャンスでもあります。
『看護師として成長したい!自分の可能性を広げてみたい!ワクワクする新しい事をしてみたい!ちょっと何かを変えてみたい!』
そんな方がいらっしゃいましたら、ぜひ、一緒に働きましょう!