東京第2位の脳卒中治療実績。北原国際病院の救急体制とは?

活動報告

日本医療企画が発行している医療経営雑誌『フェイズ・スリー』の2016年2月号、マグネットホスピタル

という“患者や職員、地域住民などを引き付ける魅力”を持つ病院の取り組みを紹介するコーナー北原病院が紹介されました。今回は、そのフェイズ・スリーの記事から、プライベートの病院で東京第2位の脳卒中治療実績をあげている北原病院の救急体制をご紹介します。

おやみる2

北原国際病院では、当直体制の変更、救急隊からの外線専用の回線の新設などの救急受け入れ体制の見直しにより、2014年3月には67%にまで低下していた救急車応需率を15年3月には97%に回復。脳神経疾患の勉強会や懇親会の機会を設けながら救急隊との関係構築も深めている。
当直体制見直しなど救急車受け入れ体制強化

東京都八王子市の医療法人社団KNI北原国際病院は脳神経疾患に重点を置く急性期病院。救急患者を24時間365日体制で受け入れ、専門性の高い医療を提供している。同法人は同院のほか同市内に北原リハビリテーション病院、脳ドック等の検査専門クリニックである北原RDクリニックをもち、脳神経疾患の予防からリハビリ、在宅を見据えた退院後のケアまで一体的に展開している。
北原国際病院には8人の常勤医師(脳外科専門医5人、血管内専門医1人、神経内科指導医1人、救急医1人、循環器内科医1人)が在籍。これまで脳神経外科でありながら年間200
0件前後の救急車を受け入れてきたが、夜間の受け入れ窓口が一本化されていないなどの理由により数年前から救急車応需率が低下、2014年3月には67%にまで落ち込んだ。そこで、同年6月より、救急受け入れ体制の改革に着手した。
夜間の救急車受け入れ体制については、事務職員の当直を廃止。その代わりにセラピストを充て、医師1人、看護師1人、検査科1人、放射線科1人、セラピスト1人での当直体制を整えたことで、救急患者対応の際の人手不足を緩和した。
「搬送されてくる患者さんのなかには、要介護度の高い方や、飲酒後の深酔いで暴れてしまう方などもいらっしゃいます。セラピストが当直し、事務職員の業務を含めて対応することで、このような患者さんへの対応もよりスムーズに行えるようになり、救急車応需率上昇の一因となりました。何より、救急隊からの要請にはどのような状況だろうと原則断らないという体制を構築しました」と同院救急部長の吉田浩貴医師は話す。
加えて、新たに救急隊からの外線専用の回線を設置。患者受け入れ要請が入った際、これまでは昼夜問わず医事課職員が外線を受け救急看護師と医師を介して受け入れ可否の指示を仰いでいたが、平日夜間と土日には救急看護師のPHSに直接連絡が入るように変更。看護師が空床の確認と患者のトリアージを速やかに行い、受け入れ可否の判断を自ら行うことで、受け入れにかかる時間を短縮し、応需率を向上させた。
「新設した専用回線は放射線科、検査科などコメディカルの各部署にもつながっており、救急看護師が対応できない時は、いずれかのコメディカルが対応します」(吉田救急部長)
併せて、院内の空床確保のためのベッドコントロールにも注力。8床あるICUは1日2床を空けられるよう先々を見据えて調整し、毎週木曜日には北原リハビリテーション病院の職員とのカンファレンスを行い、転院予定患者の情報を共有。患者のスムーズな転院につなげている。

看護師回診

 

顔の見える関係を救急隊と構築

同院は、救急隊との関係構築にも力を注ぎ、互いの顔の見える関係を構築することで信頼感を深め、同院で対応可能な救急患者の確実な搬送につなげている。八王子消防署の救急隊に対しては、年に数回、同院との勉強会の機会を設け、吉田救急部長自ら同院の提供している医療の特徴や救急受け入れ体制について説明。事務職員を含めた同院職員と救急隊職員が交流する懇親会も開催する。
「救急隊からは、『脳外科や整形外科といった多発外傷の患者の受け入れ先がなかなか見つからない』などの悩みを聞くこともあります。現場の救急隊員の意見を吸い上げ、それに対し当院がどのような改善が出来るかを検討しています」(吉田部長)
これらの取り組みにより、15年3月の救急車応需率は97%にまで回復した。
関連会社として株式会社KMSIを有し、医療の海外展開など医療保険内にとどまらず多様な事業を実施している北原病院グループ。これまで培ってきた同院のブランド力を活かし、今後は一人暮らしの高齢者への生活サポートサービスを提供すべく、実現に向けて動き出している。
「救急受け入れ体制の見直しについては、今回の取り組みである程度の効果を上げることができたと考えています。今後は高齢化が急速に進む八王子市の地域ニーズをより深く把握し、一人暮らし高齢者への生活サポートサービスの提供などこれまでの医療の枠を超えた形で、地域の方々の生活を支えていくことを検討しています」と、同院広報部の亀田佳一担当責任者は話す。

 

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北原国際病院が脳卒中治療実績 東京2位で読売新聞に掲載

 

マグネットホスピタル元記事

 

日本医療企画 「フェイズ・スリー」