Webサイト「リハレポ」で北原事業が紹介されました。ー北原ジャパンクリニックー

発展途上国開発リハビリレポーター(以下、リハレポ)は青年海外協力隊員、シニア海外ボランティアを中心とした海外で活動する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士ののブログ集です。リハビリテーションや医療の海外事情について様々な国で活動する方がブログを書いています。

今回、このサイトに北原グループの北原ジャパンクリニックと日本医療開発機構について記事が掲載されました。まずは、北原ジャパンクリニックの記事をご紹介します。

 

カンボジアの歴史

カンボジアは1970年代後半のポル・ポト政権時代に医師、教師、法律家などの知識人が大量に殺されたという世界でも稀に見る悲惨な歴史を持つ国です。

その後、内戦が続いたこともあり、今でも医療従事者の教育が不十分な状態です。現在、経済成長は著しいカンボジアですが、医療はその発展から取り残されています。

医療レベルはASEAN諸国の中でも著しく低く、カンボジア国民自身も国内の医療に対して十分に信頼していない現状があります。

お金を持っているいわゆる富裕層のカンボジア人はシンガポール、タイ、ベトナムなど近隣の国に医療を受けるために渡航します。

貧しい人達はカンボジアで医療を受けるしかなく、基本的な治療を十分に受けることができません。カンボジア医療にはこのような背景があります。

 

北原グループの海外プロジェクトについて

北原グループは、2009年からカンボジアに入り、2015年春に他日本企業と合同で日本式の救急病院Sunrise Japan Hospitalを開院します。

高品質な医療サービスの提供ために、現在カンボジアの人材育成を行っています。北原ジャパンクリニックでは回復期—慢性期、スポーツ、予防医学など、カンボジアの健康促進のために幅広く枠組みを作ろうとしています。

また、貧困層の患者様に対しても適切な医療が提供できるように地産地消の医療システムを構築することを目指しています。

リハレポKJC

北原ジャパンクリニックについて

北原グループは2012年にカンボジアの首都プノンペンに北原ジャパンクリニックを開設しました。このクリニックではリハビリテーションを中心としたサービスを提供しながら、カンボジア人スタッフの人材育成も行っています。

現在の主なサービス内容は、医師診察、外来リハビリテーション、訪問リハビリテーションになります。患者様の希望があった場合は、日本への医療渡航のアシストなども行っています。8割以上がカンボジア人の患者様になります。

日本人の患者様は1割程度です。6割以上が痛みを伴う整形外科疾患(腰痛や肩関節周囲炎など)であり、脳卒中などの中枢神経疾患は3割程度です。患者様の多くは富裕層から中流層であり、外国に医療渡航した経験のある方が殆どです。

治療中の言語は、英語とクメール語になります。多くの患者様は英語を話すことが難しく、母国語であるクメール語のみになります。私はクメール語を十分に話すことができないため、カンボジア理学療法士に通訳してもらいながら治療を行います。

 

リハレポ平井

 

リハビリテーションの提供における日本と違い

日本ではリハビリテーションを提供する前には十分な医師の診察、診断があり、医師のリハビリテーションの処方があります。

カンボジアでは他病院で十分な検査や診断がされない状態のまま当院を受診されるケースが多いのが現状です。したがって、最初のアセスメントに十分な時間を要します。患者情報を収集、整理しなが詳細なアセスメントを行います。

患者自身も自分の症状について理解していない場合が多いので、模型や図を使いながら丁寧に説明を行います。治療においては、バランス機能や姿勢の改善ということをテーマに行っています。こちらは日本で行っている内容と大きな相違はありません。

私の印象ですが、カンボジア人の自主トレーニングの定着は非常に良い印象があります。

訪問リハビリテーションにおいても日本と異なる点は幾つかあります。サービス内容は日本と同様に自宅内動作訓練、家族指導、住宅改修の提案などになりますが、環境や社会背景が異なるためサービスの工夫が必要になります。

例えば、家族指導においては、家族ではなく家事労働者(家政婦)に指導することが多いです。富裕層の多くは、家政婦を雇っており日常生活の介護は家族ではなく家政婦が中心に行うことが多いのが現状です。

その他、住宅改修においては福祉専門業者が存在しないため、階段の手すりなどを設置する業者と連絡を取りながら実施した経験があります。このように、現地の社会に適応しながら患者様へのサービスを組み立てています。

リハレポ家族指導

 

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