カンボジア現地で念願のFS(実現可能性)調査プロジェクト。その中で大きな動きは沢山ありましたが、その一つはカンボジア現地に会社を設立したことでした。
ER IA(東アジア・A SEA N経済研究センター)の業務委託による現地調査が決定したのは2009年秋。調査期間は2009年12月から翌2010年3月半ばまで。この間に4月以降の活動の拠点を築かなければなりません。
書類を商務省に提出してから承認されるまで最短でも2ヶ月はかかるとのことで、2010年1月末、「今週中に会社設立手続きをするように」との指令が下ります。
何から始めればよいのか途方にくれるばかりでしたが、泣き言を言う時間もありません。当時の人脈を駆使して、 何とか会社設立作業をスタートすることができたものの、慣れない国で慣れない作業、色々ありました。その一つを紹介します。
それは、設立作業の中で、法令上の様々な矛盾点に遭遇したことでした。
例えば銀行口座の開設について。
銀行側には「法人口座の開設には商務省における商業登記後に受領出来るビジネスライセンスが必要」という法令がある一方で、商務省には「商業登記には銀行口座開設の証明が必要」という法令があるのです。
(ちなみに日本での場合は、まず法人登記をしてからその登記簿謄本その他の書類を持参して、銀行口座開設手続きになります)
最初はどうすれば良いのかと立ち止まって考えてしまったものでした。
この点についてアドバイザーのカンボジア人に確認したところ、「確かに矛盾はあるものの、カンボジアの慣例として、
①まずは会社代表者が個人の銀行口座を仮開設
②その個人の銀行開設証明書を持って商業登記を実行
③その後商務省から受領するビジネスライセンスを銀行で提示し個人口座を法人口座に切り替える
という手続きを行っており、それがこの二つの矛盾した法令の通り道だ」ということでした。
しかし当時はどこにもこのような細かい手順を明確に示した資料はなく、「皆このやり方でやっており問題ない」というアドバイザーの意見だけが頼りの状態。
アドバイザーは信頼出来る人でしたが、それでも本当にこれで大丈夫か、後から問題にならないかともちろん不安に思ったものでした。しかし時間もありません。他の信頼出来る筋にも確認し非公式な情報ながら同じ答えを得ることが出来、最終的にはこの方法で手続きを行いました。
【カンボジアプロジェクト立ち上げ記その6】