資金集めの難しさ。。

カンボジアの首都プノンペンに救命救急センターを建設するという、私たちのカンボジアプロジェクト。土地の購入から建物の建設そして運営が安定するまでの初期費用など、数十億というお金が動きます。
このプロジェクトを実行するには、私たちだけの資金・財源ではとても足りません。 企業を動かし、出資や融資、寄付など何らかの形で資金や高額医療機器などを調達することが絶対条件です。
そしてこの企業を動かすのが本当に大変でした。
かなり初期の段階から、何十社も企業を回りプロジェクトの説明をしました。するととても興味を持ってはくださるのですが、出資・融資には至らないのです。

「カンボジアは内戦の記憶も新しい発展途上国。そこで本当に日本式の先進医療を実現出来るのか、また実際に必要な治療費を支払える患者は十分な数存在するのか」

これが通常の方の反応でした。疑問に思うのは当然です。この疑問が解決しなければ、プロジェクトが成功し投入した資金を回収出来る見込みもないのですから。

私たちなりに、この疑問に対する答えは持っていました。
カンボジアの視察やヒアリングを重ねる中、
「カンボジア国内には脳卒中に対して適切な医療を提供出来る病院が無いこと」

「カンボジアからタイなど近隣諸国へ医療を受けに行っているカンボジア人が万単位でいること(つまり、それだけの経済力のあるカンボジア人がいるということ)」

「カンボジアに多くいる富裕層の存在」

「カンボジアに続々と進出している各国医療機関の存在」

など、カンボジアプロジェクト成功の根拠となるデータは色々と出てきていたからです。
しかし、私たちの経験不足で、それらの一つ一つの点(データ)を説得力があり論理的な一本の柱としてまとめきれていなかったのです。いくら口頭及び少々の資料を提示しても、それは企業の方々を十分に納得させるには不十分なものでした。
「ではデータをまとめて十分な説得資料を作ろう!」と言うのは簡単ですが、この作業には多くの議論や追加調査の時間を費やしました。

「カンボジアプロジェクトは成功する!」
いくら直感で確信していても、お金は動きません。
結局、この柱を作るためには年単位の時間がかかりました。
しかし、その中で大切なことを学び、経験することが出来ました。
強い理念や信念は大事です。それがなければ、本当の意味で人を動かすことは出来ないのではないか、と思います。
しかし、大きなお金を動かすプロジェクトには、それだけでは足りないこともあります。明確かつ説得力のある根拠資料。一朝一夕に出来るものではなく地道なデータ収集や分析が必要ですが、その地道な努力がプロジェクト実現のための縁の下の力持ちになっているのです。

大苦戦した資金集め。
大きな企業を動かすなんて、とても無理ではないかと思われたプロジェクト初期。

しかし今、資金集めは成功し、プロジェクトは大きく動いています。強い信念・理念を持ち、実現に向けた地道な努力も欠かさない。
この姿勢を保ちながら、更にプロジェクトを前進させていきたいと思っています。

【カンボジアプロジェクト立ち上げ記その7】