産経ニュース 健康カフェ 【骨粗鬆症 運動しない男性にもリスク】

【ヘルスケア情報】

「私の骨密度(骨の量)は大丈夫でしょうか?」。こう聞いてくるのはだいたい60~70代の女性です。骨がもろくなってしまう骨粗鬆(こつそしょう)症を心配してのことです。

骨粗鬆症は、骨強度が低下し、骨折しやすくなる骨の病気です。骨折から介護が必要になる人は少なくありません。骨強度には、骨密度と骨質(骨の材質)が関係していますが、骨密度が低い人は骨折がなくても、正常な人に比べて死亡リスクが2・6倍も高いことが分かっています。

骨密度は18歳ごろに最大になります。幼少期からこの時期にカルシウムやビタミンDなどの骨を作る栄養が不足していたり、運動量が少なかったりすると、骨密度が低くなり、将来の骨強度に影響します。特に痩せている人は骨密度が低い傾向にあります。20~30代では男女ともに骨のことを気にする人は少ないのですが、骨粗鬆症を予防するにはこの年代の体重と運動習慣がとても大事なのです。

骨密度の基準は成人(20~44歳)の平均値を基に決められています。基準の80%以上なら正常、70%以上80%未満を骨量減少、70%未満を骨粗鬆症と診断しています。

先日、健康診断で測定した骨密度が76%という28歳の男性がいました。骨量減少で、要注意という診断です。体形は特に痩せているわけではないものの、ガッチリしている方ではありません。食生活について伺うと、特別偏った食事をしているわけでもありませんでした。喫煙もせず、多量に飲酒することもないとのことです。ただ、幼少期から今に至るまでこれといった運動習慣はなかったそうです。最近の若い男性に多い生活歴かもしれません。骨粗鬆症は女性ホルモンとの関係から中高年女性に多い病気ですが、運動習慣も関係しているので、運動する機会が減った今の若い男性が中高年になる頃には、男性の骨粗鬆症が増えているかもしれません。

さて、「若いときの骨密度が大事」といわれても、すでに中高年の方は「どうしようもない」と思ってしまうかもしれません。確かに中高年になってから骨密度を増やすのは難しいことです。しかし、低下するのを抑えることはできるので、あきらめないでください。

大事なのは、やはり毎日の運動です。まずは歩くことや階段を上ることを心がけてみてください。また、カルシウムやビタミンDを多く含む乳製品や魚をよく食べることも有効です。毎日の積み重ねが大事ということですね。(北原ライフサポートクリニック内科医 下島和弥)

 

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