産経ニュース 健康カフェ 【焦げた食品 老化物質が発生、調理法工夫を】

【ヘルスケア情報】

お肉やお魚など食べ物の焼ける匂いは食欲をそそりますね。加熱調理は食材を、食べやすくする▽消化吸収をよくする▽細菌やウイルスを殺したり減らしたりする-などの機能があることはよく知られていることです。

しかし最近、焼いたり揚げたりした食品に、体に良くない物質が含まれていることが分かってきました。肉が焼けるとき、赤から茶色へと変化します。あの色合いの変化は肉に含まれる糖やタンパク質が熱で混ざり合うことで起こっているのですが、このときにできる物質を総称してAGE(終末糖化産物)と呼んでいます。糖尿病や動脈硬化を進めたり体の老化を早めたりすると考えられており、いわば老化物質の一つといえます。

すでに糖尿病や腎臓の機能が悪い人は、体内により多くのAGEが残りやすくなるとされています。また、AGEは体内でも作られています。人間の体の細胞は主にタンパク質で構成されていますが、糖分を摂取すると、タンパク質と糖が体温などによって加熱されたような状態になり、その結果、AGEができるのです。血糖値が高いほど、体の中で糖とタンパク質が結びついて多くのAGEが発生します。また、AGEを多く含む食べ物を頻繁に食べると、それだけ蓄積量が増えるといわれています。

なるべく摂取したくないAGEですが、加熱した食品に含まれるので、摂取をゼロにするのは難しいです。ただ、調理法によって少なくすることは可能です。

AGEは、食材を加熱する温度が高いほどより多く発生することが分かっています。揚げ物や炒め物は油の温度が170~200度、オーブンは200~240度と高温での調理になるため、食材にAGEがたくさん発生してしまいます。一方、ゆでる、蒸す、煮るなど水分を使った調理法は加熱温度が100度までに抑えられるため、AGEはあまり発生しません。

例えば、2センチ程度の厚みの鶏肉を180度のオーブンで15~20分焼いた場合、同じ時間ゆでたり煮たりした鶏肉に比べ、およそ5倍のAGEができるといわれます。ただ、毎回煮るかゆでるかの調理法では味気ないですよね。焦げた部分にAGEが多いので、肉や魚を焼くときは、低温でゆっくり火を入れる調理法を試してみてください。

また、野菜をたくさん食べたり体を動かしたりすることでもAGEの蓄積は抑制されるので、生活習慣を見直すことも大事です。(北原ライフサポートクリニック内科医 下島和弥)

元記事はこちらから