NGO日本医療開発機構の短期ボランティアに参加してくれました塚本ナースより、参加後のレポートを頂きました。塚本ナースは、約3週間、カンボジア 国立コサマック病院にて医療・教育活動に参加してくださいました。
研修終了後レポート「JMDO活動に参加しての学び」
2015年9月20日 塚本 和子
今回3週間のJMDOの活動へ積極的に参加させてもらい、国立コサマック病院における療養環境や医療活動の現状、看護活動の実際、看護学生への教育指導に対して多くの学びを得る事ができた。
国立コサマック病院の位置づけとしては、主に貧困層の患者の治療が行われている病院であり、治療過程にありながらも、患者・家族の金銭的な面を無視できない状況にも遭遇し、保険制度のないカンボジアでの医療に対するリアルな現状を突きつけられた機会ともなった。また、完全看護を推奨する日本の看護体制とは大きく異なり、家族による療養環境の構築が必須であり、いかに家族と共に患者の看護を展開していくかが課題となるという点も印象的であった。
その様な療養環境下で、療養環境の整備・教育指導に重点を置き活動されているJMDOの活動に参加し、活動の実際を経験させて頂くことができた。
療養環境の整備においては、入院における療養環境を整えるという意識がやや低めであるカンボジアの国民性が基盤にある中で、家族・看護師・学生に対して、いかに必要性を理解してもらえるように働きかけることが重要であるかという事を今回学ぶことができた。強制的な活動での継続は厳しく、自発的な活動へといかに繋げていけるかが鍵となり、研修参加時は、家族・学生へのアプローチがある程度構築されていたため、必要最低限な部分においての療養環境の確保は出来ていたのではないかと感じられた。しかし、どこまで求めるかという点については検討に迷う点が見られるのも現状であったと思う。
教育指導においては、看護師の国家試験がなく看護学校を卒業することが看護師として働ける資格取得という現状であり、実習機関である病院内でのエビデンスに基づいた基礎技術の習得が大きな役割を果たしていると痛感した。看護学校教育の現状までは理解できていないが、看護技術に対してエビデンスを理解できるように教育していく事は、国民性や学習過程が異なる為、とても困難な活動内容ではあり、継続的なアプローチが必要であることを感じ、教育の必要性と重要性を痛感させられた。
また病院内の他コメディカルとの医療連携においても、JMDOの活動の役割は大きく、Dr、現地看護師、リハビリスタッフ、学生と極力コミュニケーションを図る体制作りを行い、チーム医療の必要性を浸透させていっている現状であったと思う。
医療・看護職において、日本の医療や看護観を一方的に押し付けるのでは、現地での浸透は期待できず、いかに現地スタッフと相互理解を深めながら活動を行っていけるかが、カンボジアでの医療・看護展開の課題になることを痛感できた。
今回の研修での経験・学習は、病院・地域看護を理解する上では、とても貴重なものであった為、今後自身の活動へ生かしていく事を課題にしていきたいと思う。