カンボジア国内から変える「カンボジアのリハビリテーション医療」 ~ 第4回 <後編> ~

今回は引き続きカンボジア人の理学療法士の教育についてお話したいと思います。

現在カンボジアで抱える理学療法士教育の問題をどのように解決していくのか?そこで、KNIグループがカンボジアで運営しているKitahara Japan Clinicでの理学療法士教育についてご紹介します。

Kitahara Japan Clinicでは、現在2名のカンボジア人理学療法士を雇用し、教育にあたっています。まず、どの程度の知識があるのかをみるために日本の理学療法士国家試験を英訳し、それを解いてもらったたところ、半分くらいの問題は習ったことがないとのことでした。クリニックでは面接で精査し、優秀なカンボジア人理学療法士を雇用しているので、一般的な理学療法士の知識はさらに劣ると思われます。

KNIグループでは2本柱で理学療法士の教育を行っています。1つはTSMCでの講義の開催、もう1つはクリニックで雇用したカンボジア人理学療法士への教育です。私達は2012年からTSMCで講義を行っています。テーマは「stroke rehabilitation」と「人の正常運動」。また、国立病院で同校の学生をインターンとして受け入れ、臨床場面での実践指導も行っています。
TSMCの学生は1年生から病院の実習を受けます。学生にとって、実際の臨床を体験できる機会は多ければ多いほどよいです。日本の学生よりも臨床に触れる機会が多いので、カンボジアの教育にもよいところがあるのだと感じたのを覚えています。
・・・が!しかし!実際の実習場面を見た瞬間にそんな気持ちはなくなりました。実習先では、学生が1マンパワーとして扱われ、ろくに指導すらしてもらえません。ひどい時は、実習生が患者さんに治療をしているにも関らず、少し離れたところで本来指導すべき病院職員が集まり談笑していることさえあります。

今、強く感じているのは、カンボジアの医療者のレベルが低いのは一重に教育の問題であるということです。私たちが取り組む理学療法士の教育には、Kitahara Japan Clinicで作成したカンボジア人向けの卒後教育プログラムを使用しています。
Kitahara Japan Clinicでカンボジア人理学療法士を雇用し、教育開始してから1年経ちますが、適切な教育を行えば日本人と遜色のない理学療法を行えるようになります。彼らに足りないのは「しっかりと教育してくれる先生」と「時間」です。Kitahara Japan Clinicでは、より質の高い教育を行えるように、教育プログラムの見直しを随時行っています。(第5回へつづく)