カンボジア国内から変える「カンボジアのリハビリテーション医療」 ~ 第3回 <前編> ~

脳卒中のリハビリテーションにおいて装具って重要ですよね。歩くことが難しい患者さんでも、装具があれば歩けるようになる人も多くいらっしゃると思います。
今回はカンボジアの装具事情について、私が関わるプロジェクト「途上国にリハビリ道具を届けませんか?」をご紹介します。

さて、第1回の記事でもご説明した通り、カンボジアでは1970年から約30年にもおよぶ内戦がありました。このときに狭い国土に大量の地雷が埋設され、世界で最も地雷埋設密度の高い国と言われるようになってしまいます。内戦が終わって十数年たちますが、現在でも地雷による被害が後を絶ちません。そのため、カンボジアでは下肢を損失してしまう人が多く、義肢装具士の技術は義肢を中心に発達したと思われます。

しかし、脳卒中の下肢装具の質はお世辞にも高いとは言えません。
私は四肢切断の患者さんを日本で数人しか見ておらず、日本の義肢に詳しくないのでカンボジアの義肢の質の良し悪しの判断はできませんが、過去にクリニックの患者さん用にプラスチック短下肢装具の作成を依頼しましたが、品質が悪く結局使えませんでした。

私が在住しているカンボジアの首都プノンペンでは、2つのNGO団体「Veterans International:VI 」と「Cambodia Trust:CT」で装具を作成することが可能です。この2つの団体は間接的に関係があり、VIで養成された義肢装具士(Prosthetist and Orthotist:PO)がCTで働いているといった仕組みになっていて、作成する装具の質はVI、CTどちらも同じくらいです。
貧しい人には無料で装具を提供し、また支払い能力のある方には販売をしており、プラスチック短下肢装具で40ドル程度といった具合です。(第3回<後編>につづく)

★こちらの記事は『現役理学療法士による、理学療法士を目指す人のための情報サイト「POST」』にも掲載されました。