「申請書類を持って、インドネシアへ飛べ。ジャカルタ本部に直接書類を持っていこう」
そうです。
国際スピード郵便を使うと9月26日には書類を発送しなくてはなりませんが、誰かがインドネシアに直接持っていけば、前日の29日の出発で間に合うのです。この状況での3日の猶予は、書類完成にあたり絶対に必要不可欠な日数でした。
しかし急なことでスタッフの中にはパスポートの準備が出来ていない者も複数おり、この任務の白羽の矢が当たったのは、私、フクでした。
出発は9月29日。出発前日も事務所で徹夜の原稿のとりまとめ作業が続きます。カンボジアの執筆チームからは、最後の最後まで訂正原稿が到着し、印刷・製本は明け方開始。空港行きのリムジンバスにも間に合わず、トップの北原自らの運転で成田空港まで車を走らせ、飛行機に飛び乗ります。
スタッフは全て申請書類にかかりきりで、事前に手配したのはフライトチケットのみ。ホテルもドライバーも手配しておらず、全て現地に到着してからの作業です。
初のインドネシアで土地勘も無く、不安も疲労もありましたが、「申請書類が完成した」「明日手渡しすれば確実に申請出来る」という希望が元気と勇気をくれたものでした。
こうしたドタバタ劇の中、カンボジアプロジェクトの申請書類は無事に締め切り前に提出することが出来ました。
そしてありがたいことに審査を通過し、同年(2009年)12月には 再度調査チームを編成し、翌2010年3月までの約3ヶ月半、私たちにとって初のカンボジア現地調査プロジェクトが始まったのです。
資金不足に苦しんでいた時期の千載一遇のチャンス。一方で、厳しい締め切り日程に、当時の人的資源からすれば無謀とも思われる提出書類のボリュームとレベル。今振り返っても、当時書類が完成し期限内に提出出来たことは、本当に奇跡のようです。
しかし、奇跡は何もせずには起こりません。しかるべき努力や行動を起こした時に、思い描く夢を忘れず絶対に叶えるのだという信念がある時に、しかるべくして起こるのだと感じました。
プロジェクトはまだまだこれからが本番です。これからもスタッフ一同、努力を怠らず、信念を持って新たな奇跡を起こしていきたいと思います。
【カンボジアプロジェクト立ち上げ記その3】