締め切りまであと10日!唯一無二のチャンスは急にやってきた!

今でこそ経済産業省も大々的に医療の国際化を推進していますが、それもここ3~4年のこと。
私たちがカンボジア構想を立ち上げた2008年時点では医療の海外展開に関する理解が得られにくく、苦労し、もがく毎日でした。特に資金面の苦労が多く、カンボジアでのプロジェクト全体の構想や現地との結びつきは早々に出来たものの、その構想を形にするための現地調査費用の捻出すら難しく、プロジェクトを進められない日々が続きます。

そうして プロジェクトが停滞していた2009年9月、大きなチャンスが舞い込みました。
それは、ERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)がメコン地域でPPP(官民連携Public-Private Partnership)プロジェクトを募集しており、採用されればERIAからの業務委託での形でカンボジア現地でのFS調査(feasibility study実行可能性、採算性などを調査)が出来るというものでした。

是非応募したい!
そして、審査に通過したい!
現地調査に踏み切りたい!

しかし、その公募を知ったのは9月20日、一方締め切りは9月30日午後5時インドネシアジャカルタのERIA本部事務所必着。申請にあたり財務資料、事業見通しやリスク要因などを含めた分析資料並びに実施計画書等を全て英語で作成する必要がありました。
当時はプロジェクトの駆け出し時期。海外プロジェクトには当然必要な語学や財務、事業計画作成に強いスタッフは圧倒的に不足していました。一瞬怯んだ私たちでしたが、「ここで立ち止まっては、プロジェクトは永遠に動かない。やれるだけやってみよう!」と、動き出します。
当時上海駐在だった海外プロジェクトの経験があるスタッフを上海からカンボジアに飛ばし、財務専門家を呼び寄せ・・・当時の人材及び人脈の全てをこの公募申請プロジェクトに結集させ、夜通しの作業が始まりました。もちろんゼロから全てを作成したのではなく、元々作成していた日本語のベース資料やそれまでに築いてきたカンボジア現地との関係があったからこそ始められた取り組みでしたが、それでも足りない資料はたくさんあり、毎日必死で必要資料を集め、原稿の執筆が進みます。
着々と下書きが出来上がり、推敲と新しい章の執筆を同時並行する中、問題が発生します。当時調べたところ、インドネシア国内の郵便事情が良くないため、国際スピード郵便を使用しても、ジャカルタに確実に到着するまでには4日かかるというのです。9月26日の時点の発送が必要ですが、到底間に合いません。
「どうしよう・・・」
日本サイドの事務局では焦りが募ります。執筆チームには、とてもこれ以上のスピードを求めることは出来ません。
そんな中、組織のトップ、北原から指令が下ります。

【カンボジアプロジェクト立ち上げ記その2】