開発途上国で活動するということ。

活動報告

建物自体の建設や改装ももちろん必要だが、ハード面だけの整備では環境を変える事はできない。
重要なのはそこで働く「人」が、環境整備の必要性をどれだけ理解することができ、行動へ移す事が出来るかだと感じます。途上国で支援を行う場合は、ハード面とソフト面、双方のバランスをとりながら行わないと、<なかなかその継続は難しいと感じています。
例えば、
●建物のみの支援だと
キレイな建物完成、機器も充足 → 機器の使用方法・メンテナンスができない
→ 機器の破損・部屋の物置化
●ソフトのみの支援だと、
教わった通りに実施しようとする → 設備や機器がない → やらなくなる
 
私たち、特定非営利活動法人 日本医療開発機構(JMDO)でも同じような失敗を繰り返し、学び、工夫してきました。
患者さんの処置をしても手を洗わない、手指消毒もしない。でも、手を洗える水道がない。病院へ訴えるも予算がないから出来ない。職員も「ないからできない」と改善する事を諦め行動しない。
日本の基準で考えたらありえない事かもしれませんが、これがカンボジアの実態でした。そして、これらはほんの一部で、上記のような出来事は他にもたくさんありました。しかし、彼らは全く意欲がない訳ではありません。ただ、自分ひとりで解決するには問題が大きく、そして、どこから手がつけていいか分からないため、立ち止まってしまっている事が多いのです。
JMDOでは、彼らが改善が必要と感じ、そしてハードルの高くない事から介入を行っています。「自分達で変える、変える事ができる!」という達成感を感じてもらいたいためです。

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現在、患者さんは清潔なシーツが敷かれたベッドに入院する事ができるようになり、病棟にはくもの巣が張り、埃が舞う事は少なくなりました。トイレが詰まり汚水の中を歩く患者さんやそのトイレ前で調理をする家族も見ることはなくなりました。ほんの少し前までは当たり前のように存在した劣悪な病院環境が、ちょっとしたアクションで変わりました。そして、現在では日本人の介入なくとも、現地医療者の手で持続できる事が多くなっています。
 
ただ物を与え、自分達で医療を提供するだけでは、長期的な目線で状況を変えることはできません。
私たちは『人』を育てることが一番大切な事だと思っています。そして、その教育活動の中で必要となる設備や物品を充填することで、初めて現地に根付く医療につながると信じているからです。
 
今後も改善しなければならない事と現地のニーズとの間で、悩む事があると思います。しかし、これからも多くの方にアドバイスを頂きながら、「どうしたら、現地の医療者だけで患者さんへ安全な医療が提供できるようになるか?根付いていくか?」を考え、活動を行っていきたいと思います。

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今後とも『医療を育むプロジェクト』へのご支援をよろしくお願い致します。
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