部署の壁を越え、組織全体を味方に! 傍観者から当事者への意識改革

医療機関が海外、しかも発展途上国での病院建設プロジェクトを主導する。
現在は経済産業省が医療の海外展開を推進していることもあり、またプロジェクトも根付いてきて、そこまで違和感はないかもしれません。

しかし、私たちがカンボジアプロジェクトを始めた2008年頃は、まだまだ医療機関が海外進出するなんてとても現実離れしていると思われたものでした。そしてそれは外部だけではなく、病院内部でも同じだったのです。
考えてみれば当然です。当時はトップの北原理事長と私が唯一のカンボジア出張経験者、他に数名が事務方で関与していただけの状態で、カンボジアプロジェクトの全貌は大変分かりにくいものでした。

一方医療現場のスタッフは、日々目の前の患者さんの対応で大忙し。一部のスタッフのみが関与している海外プロジェクトについて、遠い世界のことと感じ情報を持っていないのは、当たり前といえば当たり前かもしれません。

本来であれば、カンボジアプロジェクト推進者の一人である私が積極的にプロジェクト進捗報告会を広くスタッフ向けに開催し、 他スタッフのプロジェクトに対する理解や認識を深めていくべきでしたが、忙しさに追われ、出来ずにいました。
しかし、そうとばかりも言っていられません。病院建設プロジェクトなのですから、 医師、看護師を始めとする、医療従事者チームの参加が必要不可欠です。

理解を求めるべく各部署のリーダーにまずは話を始めましたが、さすがは我が病院のベテランスタッフたち。変化や新しいことにはとても柔軟です。まだまだカンボジアプロジェクトの全貌が見えず色々なことを模索している、未確定事項がとても多い状態にも関わらず、状況をよく理解し、人員不足の中でも、快くプロジェクトに参加し、担当スタッフをつけてくれました。その後、海外プロジェクトスタッフが増えるにつれ、海外プロジェクトの進捗に関する情報提供の場も頻繁に設けられるようになり、輪が広がっていきました。

プロジェクトは一人では出来ない。でも、多くの人の協力やつながりがあれば、必ず出来る。そう感じることの出来た瞬間でした。

今もプロジェクトはめまぐるしく動いています。時に、説明が難しかったり、強引に人を動かさなくてはならないこともあるかもしれません。それでも、カンボジアプロジェクトについて理解してついてきてくれる、信頼出来る今のスタッフがいる限り、必ず前に進んでいけると信じています。

【カンボジアプロジェクト立ち上げ記その9】