海外の医療費と保険

こんにちは。まる子です。
前回全く自己紹介をしていなかったので、この辺で少し、私の今までの経験についてお話します。

私は24歳の頃から2年半、開発途上国で生活をしたことがあります。
その時は、医療業界に就職することになるとは考えもしませんでした。ですから、せっかく2年半も海外生活をしたのに、その国の医療についてじっくり考えることもしませんでした。今思えば勿体ない限りです…。
ただ、同じ仕事をしていた日本人の仲間が現地で水疱瘡にかかり、個室の病室に入院した際にお見舞いに行ったことがありました。その病院はとても清潔で食事も種類が豊富でしたし、スタッフも皆にこやかで、素人目に見る限りとても先進的な良い病院に見えました。もちろんその時は医療のことを何も分かっていなかったのでそう見えたのだと思いますが…。
一方で、現地の友人が出産をする際にお祝いに訪れた病院では、老朽化した建物や外来の長蛇の列、無愛想な病院スタッフに驚いた覚えがあります。

この2つ病院の違いは何か。
簡単に言えば前者は民間の病院、後者は公立の病院、ということなのです。

公立の病院は公的保険のおかげで自己負担0ですが数時間待ちはあたりまえ、資金不足で建物の修繕もままならないという状況でした。そして、無料で出産しようと思ったら、100%帝王切開をすることになっていました。手術扱いとなるので保険が効くということのようですが、それによって病院側も出産時間をコントロールしていたようです。ということは、自然分娩をしたい妊婦さんは、必然的に民間の病院で出産することになります。公的保険は使えませんので、基本的には全額自費となります。

さて、前回の記事では上海の在住邦人には医療機関でかかる値段を気にしない人が多い、ということをお話しました。なぜだかご存知の方も多いと思いますが、理由をご説明したいと思います。

皆さんは海外旅行に出かける際、必ず海外旅行障害保険に入るのではないでしょうか。少なくとも旅行会社からは強く勧められるはずです。海外旅行傷害保険には、長期滞在者や駐在員向けのプランもあります。また企業によっては、保険会社(の現地代理店)と直接契約を結んでいるところもあります。その保障はとても充実していて、たいていの場合、何か健康に問題が生じた時の治療費は100%保険が賄ってくれます。しかもキャッシュレスサービスが普通ですので、患者さんは保険証書さえ持っていけば手ぶらで医療サービスを受けることができるのです。
ですから、医療機関がサービスの価格を高く設定しようが低く設定しようが、どちらでも良いことなのです。

私はクリニックの医療そのものにも医師・スタッフの人柄にも絶対なる自信を持っていたので、患者さんが値段を気にしないなら他のクリニックと同等に値上げをしても良いのではないかと思い、院長や上海生活の長い日本人スタッフに相談してみました。ところが彼らの意見は、「上海のインフレに沿った形での値上げはすべきだが、私たちのクリニックでしか救済できない邦人もいるから値段設定は良く考えたほうがいい」というものでした。

最初は意味が良く理解できなかったのですが、説明を聞いてなるほどと思いました。
続きはまた次回に。

【海外プロジェクトブログその2】